久々に実家の母と電話で話をした。
「 元気だった? 桜を楽しめた? 」
「 、、、大変だった。。。 」
「 ? 」
現在、母は、母の2人の姉が病に倒れ、
上の姉は、娘がフルタイムで勤務、下の姉は息子が独身、なため、
介護するものがいなくて、毎日交互に姉たちの病院へ出かけ、
洗濯その他の世話をしてあげている。
母も幾ら元気だとはいえ、74歳になったのだし、
それは余りにハードではないのかと、
気軽に母を使ってくれる従姉弟たちに、少々私は立腹しているのだが、
肝心の母が「 姉が私がいい と言うのだから 」と気にしていない。
「 妹として、叔母として、
元気な自分が、気が付くことは全部してあげたい 」
、、、そういうひとです、貴女は。。。orz....
何がなくとも【 大変 】な日々ではあろう、とは思いつつ、
気丈な母をして「 大変だった 」と言わせる日々とは、一体何があったのか。
実家の近くにアパートがあり、そこに住んでいる母と同世代の一人暮らしのご婦人。
朝、母が庭に水撒きをしていると
「 綺麗に咲きましたね~ 」と声を掛けて来られたことで、
ばったり出逢うと、口をきく程度の知人、になっていたそうなのであるが。
何年も経てば、段々とそのひとの事情が判ってくる。
隣県に遠い親戚があるが、天涯孤独。
心臓に病があり、時折短期入院をする。
生活保護を受けている。
自分に何かあったときは、全て 市 が処理してくれるようになっている。
以前住んでいたアパートの近くの美容院の先生と仲良しで、
入院中の面倒は彼女が看てくれている。
近々に、また入院をする。
そんなようなことを、いつのまにか母は識っていた。
そして、先月の6日にそのひとを見掛けて以来、
短期入院だと聞いていたのに、随分そのひとを見掛けないことに気付き、心配し、
母はいても立ってもおれなくなる。
民生委員さんに訊ねると、民生委員さんもそのひとの動向が掴めてない由。
母は、自分の姉が入院している病院を中心に、
心臓を扱う大きな病院をそのひとを訊ねて歩く。
どの病院も個人情報を楯に最初は教えてくれない。
でも、短期入院のはずなのに見掛けないので案じている。
そのひとが入院しているかどうかだけでも教えて欲しいと
母の必死の形相が功を奏したのか、1つの病院が判明する。
しかしそれは、先月の上旬、
母がそのひとを最後に見掛けた日から1週間後の退院記録だった。
母は嫌な胸騒ぎがし、
そのひとのアパートの大家さんを識っていたことから、
きっとそのひとの保証人はそのひとと親しい「美容院の先生」だと予測し、
大家さんの家を訊ね、「美容院の先生」を教えて貰う。 ビンゴ!
美容院の先生は、自分の代理に娘をそのひとの退院日に、迎えに行かさせ、
そのまま3日間、自分の家で面倒を看たが、
4日目の朝、そのひとはアパートへと帰宅した、という。
母は、大家さんと民生委員さんに声を掛け、共にそのひとのアパートへ向かう。
そして、母は、そのひとのご遺体の第一発見者、となる。。。。
警察に通報し、第一発見者となったために連日の取り調べ、調書の作成。
ご遺体は解剖に回され、問題なくば、身寄りがないひとのため、
直接葬儀会社に渡され、荼毘に付される。 お葬式は執り行われない。
大家さんから「隣県の遠い親戚」へ連絡をして貰う。
荼毘に付される翌日に、来広される、とのこと。
荼毘に付される日取りが決まり、母は高天原へ行く。
そこには、葬儀会社の御方と棺に入ったそのひとのご遺体と
美容院の先生とその娘さん。
読経も何もないなか、先生と娘さんと母の3人で見送り、お骨を拾い。
骨壷は、隣県の遠い親戚のひとが取りに来られるまで、
葬儀会社が預かる、ということだった。
母が第一発見者となったとき、
そのひとは死後3週間は経過している、とのことであった。
母は、もっと早く自分が気付き、
ぐずぐずしないで動けば良かった、と悔やんで悔やんでいるのだが、
そのひとの外出時に出逢う度、庭の花を共に愛でてくれた、というだけの
ご縁であったそのひとに、母がいったいこれ以上の何ができただろう。
母だから、そこまで駆けずり回り、そこまでしてあげられたのだ、と私は思う。
母は言う。
なんとも言えない想いで登る、高天原への道々の桜が
恐ろしいほど、凄かった、と。
この桜を、一生忘れないだろう、と。
広島の火葬場への山道が脳裡に浮かぶ。
道路も、火葬場内も桜でいっぱいだった。
確かに満開時は、凄い桜で埋まると思う。
悲しい想いを抱いて集うひとびとしか観ることのできない桜。
ひとりで逝く、ということはこういうことなんだ、と思う。
それでもそのひとは、唯一の友人とその娘さんと母に見送られた。
遺骨を引き取って下さる親戚もいらっしゃった。
家財道具等々は、この親戚の方々が業者に依頼し、処分された由。
「ひとりになりたい病」によく罹患する私は、気をひきしめる。
。。。今は疲弊し、ヘコみきってる母を慰労してあげたい。
『 かたくりの里 』 へ連れて行ってあげたいのに。。。。
手首が治らな~ぃ ヽ(`Д´)ノ
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ご冥福をお祈り申し上げます
見つけて下さってありがとう…
そんな言葉が聞こえてきそうで、でも悲しくて、それでも心にかけて下さった方がいらしたのは幸せだったと思います