悼。 社会学を専攻し、ひととして どう生きて在るか、
ラディカルな闘いのなかに在った学生時代、
吉本隆明の 『
共同幻想論 』 は
仲間うちでは、基本中の基本、的 存在で、
国家が 共同の幻想であるところのもの と 理解し、
そこからの自立 を 命題とし。
まずもって 隆明の論を理解し尽くし、また、超えるべく
それは熱く論じられたものだった。
隆明には、『 最後の親鸞 』 なる著作も在ったため、
必然的に 私の書棚に 彼の著書が増えて行くのである ――
2010年 夏。
久々に、
吉本隆明に逢いたくて、
『 悪人正機 』、『 日本近代文学の名作 』、
『 ひきこもれ 』、『
老いの超え方 』 の4冊を購入。
『
老いの超え方 』 を 唸りながら 読了し、
吉本隆明 は
吉本隆明を 全うするのだ、と
背筋が伸びる。
直後、この 『
老いの超え方 』 に
差別的表現があった、 との情報を得、
私には 気付けなかったため、驚いて
版元にアクセス する。
したらば、
弊社で刊行しました吉本隆明著「老いの超え方」の文中に
差別につながる不適切な表現がありました。
単行本(2006年5月刊)174ページから175ページ、
文庫本(2009年8月刊)199ページから200ページの
「――楽しい知識ですか…」から「関心を持ちますね。」までを
削除します。文庫本は、該当部分を削除した新装版を出版します。
朝日新聞出版 なんだ、それ。 ヽ(`Д´)ノ
私の持っている文庫本は、
該当部分の削除済みの新装版であったことが判明しただけで、
なんの本質にも迫っておらず、なんの解決にもなっとらん。
『
老いの超え方 』 のなかの
どうした 部分 どうした表現 が どう 「
差別的 」なのか。
それについて、隆明は どうエクスキューズしているのか、
削除処分について、彼とインタビュアーの佐藤氏は
なんの意もなく 黙って受け入れたのか。
版元の朝日新聞出版は、どう考えているのか。
しれっと 該当部分だけ 「 削除 」して、
「 何もなかったこと 」 にされてしまうなんて。
こゆことが、マスコミや出版界における、
本質をとらえないままの「 わけのわからない自主規制 」を
拡大助長していくのだと思うけど
> 朝日新聞
そのまま 大いに もにょってしまい、
『 日本近代文学の名作 』 で 中断。
楽しみにしていた『 悪人正機 』 と
『 ひきこもれ 』 は とりあえず積読山に。
ところが、滅多にないことながら、夫が私の積読山から
タイトルに呼ばれたか、『 ひきこもれ 』 を
3日前から手に取って読み始め、
隆明を初めて読む、という夫と
隆明について 語り合う夜が3日続いたところに 訃報が舞い込み。
私より むしろ 夫が 驚愕し、ダメージを受けており――。
沈痛な表情の夫を横目に、
今宵は
吉本隆明を全うした 吉本隆明に 黙祷を捧げ、
30年ぶりに
『
共同幻想論 』 を 繙こうと思う。
合掌
たった今、 ネットで、
『 老いの超え方 』 の削除部分を発見し、
同時に、これにもの申した、恩師の文章をもまた、発見!
嗚呼、これは いかん。
これは、いかんよ、隆明さん。
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