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今日も元気で

今、生きて在れることに感謝し、限られた生を慈しみ、楽しんで、感謝のなかに在ろうと決意中。

梨木香歩 『 からくり からくさ 』







       友人から、貸してあげる、と、送られて来た梨木氏の本2冊。

       丁寧にカバーが掛けられ、タイトルは判らない。

       たまたま先に手にした 『 ぐるりのこと 』 という美しくも真摯なエッセイを、
       こころが震えるような感動と共に読了し、
       おそらく次は小説だろう、とわくわくしながら、厚めの文庫本を繙く。


       『 からくり からくさ 』。


           やさしいひらがなで、韻を意識させられる。

           からくり、、、機械人形と唐草の模様、、?


           間違いなく、和の物語であろうと予測する。
           しかし、和にシルクロードの香りが混じるものではなかろうか、と。



       玄関の横の侘助椿に、晩冬の光があたる古家の佇まいから始まったその物語は、
       案に違わず、しっとりと和のテイストが息づく物語であった。




『 からくり からくさ 』
梨木香歩/新潮文庫/2002年1月
ISBN:9784101253336/590円(税抜)




       【内容情報】(「BOOK」データベースより)

        祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。
        糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。
        静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。
        やさしく硬質な結界。
        だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、
        すべてはこの結界と共にある。
        心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして―。

        生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。



Ρ   Ρ   Ρ




       主人公は、現代の女性であり、『 赤毛のアン 』の「 パティの家 」よろしく、
       若い女性たちが下宿人として、主人公のおばあさんの家だった古家をシェアし、
       共同生活を紡いでいくのだったが。

       浮ついていない若いお嬢さんたちの生活ぶりに、嬉しさと驚きを感じる。

       4人には、植物による染色、糸紡ぎ、機織というアートの核が在り、
       「 自然 」への畏敬のこころが在るから、違うのか。

       互いの個性を尊重し、馴れ合いにならず、微妙な緊張関係を保ちつつも、
       しっとりと落ち着いた、美しくも優しい、見事な生活が紡いで行けたのは、
       大家である、主人公の蓉子の醸し出す空気、ひととなり――。
       そして、市松人形である「 りかさん 」の存在。



       梨木氏の描く情景は、『 ぐるりのこと 』を読了して感じ入り、期待した通り。
       情景も心象風景も、梨木氏の言の葉として、確かな心眼と筆でとらまえ、
       生き生きと、細やかに、美しく、こちらの胸に染み入って来る。

       特に 植物たちに注がれる慈愛の目線は、たたごとでは ない。

       かといって、特段思い入れたっぷりな押し付けがましい文章なのではなく、
       むしろ淡々と紡がれているのであったが、
       吟味に吟味を重ねられた、ひとつひとつの言の葉とその流れが美しい。


       この4人と 「 りかさん 」の 共同生活のお話、だけでも
       私には十二分に読み応えのあるものであったが、
       4人が集ったこと、そのものに 意味がある物語となっていく。


       偶然は 「 因縁 」に導かれる運命なのか、必然なのか。

           ひと と ひと。
           ひと と 植物、自然。
           ひと と その生業 と。

       まさに 「 共生 」 と 「 再生 」のドラマティックな物語、であった。



          正直、見事な蓉子さんの在りように溜息つきつつも、
           「 今時、こんな娘さんは居ない 」。
           「 素晴らしいおばあさまと、良き自然に育まれねば、
             こんな見事な娘さんは、育たない 」。

          等々、主人公である蓉子さんの在りようが、もうひとつリアリティがなく、
          いわゆる、古き良き時代の女性像礼賛へと、安易に結びつけられそうな不安。

          そんなもやもやしたものも、若干感じてはいたのだったが、
          物語のなかで、4人4様の在り方やその保護者たちの在りようまで、否定せず、
          納得し、受容し、「 判っていく 」くだりが、こころを和らげる。


          そして、「 出来杉 」( に思える )蓉子さんについて、

          この後、『 西の魔女が死んだ 』 や
          『 りかさん 』を読み進むにつれ、
          蓉子さん が 蓉子さんとして、自然と育まれていった過程に納得する。

          『 りかさん 』で、早くから『 からくり からくさ 』物語が
          必然となる箇所で、ぽんと膝をたたいた。


          梨木氏初心者である私に、
          まず『 ぐるりのこと 』 と 『 からくり からくさ 』の2冊を
          チョイスして下さった友人のセンスに感謝!



                      * 次のレビューは、
                        『 西の魔女~ 』か『 家守綺譚 』になりそうな予感~???
                           ↑ どちらもメチャ推し。 



ペン読書

読了してすぐ、実家の母へ連絡し、
『 からくり~ 』 と 『 西の魔女~ 』 を熱烈推薦。
母はすぐにゲットし、翌日、電話で盛り上がる(//▽//)☆



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[ 2008/03/11 00:00 ] 読みました^^*☆ | TB(0) | CM(3)
Re:梨木香歩 『 からくり からくさ 』
『西の魔女が死んだ』は持ってらっしゃるかと思ったんですよ(^^)

お楽しみいただけて何よりです。

『からくり』を読んだ時に、思わずりうりうさんのお母さまを思い浮かべました。『西の魔女』でも。

身近な自然や人に優しい目を向け、手仕事が好きで、地にしっかり足をつけて生きている女性。。。

伊坂さんを仁くんと。

梨木さんをお母さまと。

うらやましい読書環境ですね(^^)

『家守綺譚』もいいですよね。これの前の物語が『村田エフェンデイ滞土録』です~。
[ 2008/03/16 09:46 ] [ 編集 ]
極悪至極。
あ、極悪なるゆうやけぐもさん、

『 彩雲国物語 』に続き、この度【も】誠に有難うございますヽ(`Д´)ノ☆



 > 『西の魔女が死んだ』は持ってらっしゃるかと思ったんですよ(^^)



ぃゃ~~、『 西の魔女~ 』を既読でしたら、私は即座に全刊取り揃え、

新刊を待ち望む行列に並んでおりましたでしょう^^*☆



 > 『からくり』を読んだ時に、思わずりうりうさんのお母さまを思い浮かべました。



ぅわ! 有難うございます☆☆(//▽//)

ぢつわ、恥ずかしながら私も、蓉子さんは母だ!と思いました。

だからこそ、「 【 いまどき 】こんなデキたうら若き女性はいないよ!! 」って、

つい思っちゃったの。



『 西の魔女~ 』のレビューで書くつもりだったのですが、

私は私の母が魔女であることを確信しました(滝汗)。

自然や植物をこよなく愛し、愛され、緑の指を持ち、生活の智慧を豊かに持つ魔女。

にっこり笑って「 I know ☆ 」と言うんです、あのひとは。 

だもんで、最後は号泣してしまいました。



西の魔女とようこちゃんのおかあさんに、

緊張関係があるのは、母娘として、凄くリアルでしたね^^☆



『 家守綺譚 』!!

見事でした。 溜息吐息です。

場面場面で波津彬子さんの絵が、脳裏に鮮やかに浮かぶんですぅぅぅ(//▽//)☆☆☆

[ 2008/03/16 10:46 ] [ 編集 ]
遅くなりましたあああ
えーと、遅くなりましてすみませんです。

いろいろ考えさせられる物語なだけに、どうコメントしたものかと考えている内に、このエントリーが流されて、見つからなくなっておりました。



さて、コメントに迷ったのは結局、ここで何か言おうとすると人の話を聞かない私の一方的な私個人の感想の羅列になってしまいそうだったからでした。



しっとりとみずみずしい和の生活と、土着的で固陋な田舎の現実。受け継がれる伝統と押しつけられる責務。それらが常に、女にとって表裏一体のものであったことを、否定でも肯定でもなく、淡々とありのままに描き出したこの物語。明るく爽やかな導入にも関わらず、実はかなりシビアなものを内包していたと、私はそう感じておりました。



梨木さんの作品は本当に感性の細やかさが得難いです。そして、起こったことや出会った人々に対し、どんなシビアな現実であろうと、自分の経験と感性を総動員して受けとめようとする、その柔軟さが素敵だと思います。



って、結局、自分の感想しか言ってないかも…。すみません、KYついでに、エッセイの「春になったら苺を摘みに」もすごくよかったです。
[ 2008/07/10 23:12 ] [ 編集 ]
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