後日、義母から責められたり、嘆かれたりすることになろうとも、
私が数年ぶりに実家に泊まることを決めたのは、
職場新年会にてこころ置きなく飲もう! としただけでは 決して、ない(ほんとだよ)。
実家に泊まった翌朝に、以前から気になっていた左頬の黒子を、
私の信頼するDr.マリオに診ていただこうと決心したから、である。
また、この1年、外出する度に上下瞼が酷く荒れること、
私自身がしてきたケアで間違いないかをお訊きしてみたく、
丁度良い機会だと、思ったから、である。
Dr.マリオは、県立病院の皮膚科部長さんでいらしたのだったが、
病院の安易なステロイド投薬方針に疑問を持たれ、独立。
その県立病院のすぐ横にクリニックを開かれた剛の者、と耳にしていた。
私がこの先生にご縁をいただいて既に20年余。
想像していた「 剛の者 」なイメージは全くなく、
Dr.マリオそっくりのご容姿に、なんとも穏やかな話し方をなさる先生で、
私も少年たちも、すぐにこの先生が大好きになった。
必ずメモ用紙にペンで図を描きながら丁寧に説明下さり、
日常生活、薬に対する細かな指示、
ひとりひとり、その状態に対し、
ノンステロイドで、できる限りの対処法を考え下さる。
状態が余りに酷く、やむなくステロイドを出されるときも、
できるだけ基材で薄め、もしくはワセリンの上から塗るべし、とされ、
「 何があっても、これは3日間だけしか塗ってはいけません 」
例えば3日後、忙しければ1週間後。
「 必ず 診せて下さいよ? 」
私たちの目を観て、そうおっしゃるのだった。
帰りにはそのメモを下さって「 頑張りましょうね? 」
あるとき、下の少年の受診のため、抱っこして受診の椅子に座ったところ、
「 赤ちゃんより おかあさんが大変です。 今晩8時に来院して下さい 」。
私の右頬の黒子がキケンだ、とおっしゃるのである。
当時私の右頬には、黒子が3つあり、綺麗な逆三角形の形をしていた。
そのうちのひとつがキケンだ、とおっしゃるのであるが、
良く観れば確かに少し蒼っぽいようではある、、、、これが??
少年を診ていただきに行ったのに、
私の黒子がキケンだから、取る、とおっしゃるので慌てたが、
この先生をとても信頼していたので、とても有難いこと、と感謝し、
少年たちを実家の母に預け、午後8時にクリニックへ。
レーザーで焼く感じなのかなぁと想像してたら、
いきなり頬に麻酔注射を打たれた( めちゃ痛いし )ので、ビビる。
「 表情筋に沿って切りますからね、きっと後は残りませんよ 」
やさしくそうおっしゃりながら、私の頬はメスで切開され、出てきた黒子は。
私の右頬で三角形の一点を司っていた蒼っぽぃ黒子。
実はその一角を見せていただけで、取り出していただくと、
ちょうど6mmBB弾のような大きさの完全球体のものであったのに驚く。
そしてこれは確実に皮膚癌に変わっていくものなのだ、と!
その折、3針縫われたが、今では全く跡形もなく、
私はDr.マリオと下の少年に、いのちを救われたのだなぁと思っている。
Dr.マリオの小さなクリニックは いつも満杯状態で、
待ち時間の長いのだけが大変であったが、
私たちは、このクリニックへベビーカーを押して行ける場所、
自転車で通える場所に暮らす倖せをいつもいつも感謝していた。
なのにこの地に転居してから、
3~4時間待ちのDr.マリオのクリニックにはとても通えず、
近隣の( といっても隣市になるが )違う皮膚科に行ってしまったのが、
私の大きな失敗だった。
Dr.マリオのような先生を求め、10近くもの皮膚科を訪ね歩いたが、
結局
ゾンビな姿になって のたうちまわることになるのである。
どうして他に、Dr.マリオのような先生がいらっしゃらないのか不思議だったが、
後にネットで調べて納得する。
『 アトピー・ステロイド情報センター 』のサイトで、
アトピー・ケア病院・医師 のページに掲載されるような皮膚科クリニックは、
全国でも数える程しかいらっしゃらず、広島県では僅かに2箇所。
そんなことを私は識らないで、
たまたま そういった素晴らしい先生にご縁をいただいていたのだった。
2年前に左眼の下に出来た黒子。
蒼っぽくて少々隆起しており、なんだかむず痒い。
これはヤバいのでは、と思ってるうちに、
丸い形が崩れ、横に長く楕円に変形していき、見た目 シミのよう。
うずうずと痒い日が多くなり、ほんとにヤバい、と受診を決意するも
なかなか行ける日をつくれず、今回の実家泊は願ってもないチャンスだと感じ。
職場忘年会翌日の土曜はミュージカルの練習が入ったために、
思い切って金曜早朝に自宅を出立して、午前中に受診することに決め。
14年ぶりに、Dr.マリオのクリニックを訪う。
フツーの小さな民家の1階を改造された、小さなクリニックは、
外見も受付も待合室も全く変わっておらず、
おそらく奥さまだと思ってる薬剤師さんもそのままいらっしゃり。
妙に懐かしく、妙にあたたかく、妙に嬉しく。
受付時に、「 平成2年 」に つくられた古い診察券を新しくしていただいたが、
これもまた、全く同じ紙、デザインの診察券で。
待合室に並ぶ、乳幼児を抱くおかあさん方に、
過去の自分が、時が、フラッシュバックする――。
文庫本を3冊持ち込んで、読みふけるうちに名前を呼ばれ。
処置室が3つある診察室に入ると、これもまた、丸っきり変わっていない。
さぞお歳を召されたのでは、と想像してたDr.マリオのお姿も、そのまま!
先生がお優しい分、てきぱき キレ者オーラ満開の看護師さんたちも健在。
う"~ん。。。 びっくり~~。
私の黒子は、心配しなくていい「 黒子 」だった。 \(^o^)/☆
隆起して日々変形しているのは、色素細胞がそうでない細胞と闘っているため。
むず痒いのは、「 戦闘中 」の刺激、らしい@@。
おそらく色素細胞が負け、そのうち色がなくなっていく可能性が高いそうである。
そう聞けば、不安だったこの痒さも、
いとおしく思えて来るから
現金な 不思議なものである。
外出時の両瞼近辺の荒れは、日光というよりは花粉等、
外に浮遊している物質によるものである可能性が高い。
よって、現在私がしている通り、
外出前の 精製ワセリンである
『 サンホワイト P-1 』による瞼への
「 保護 」 が1番適切である、と
お墨付きを受ける。
「 サンホワイトもすり込んではいけませんよ?
できるだけ刺激を与えないよう、
指先で軽く、ぽんぽんぽん、と乗せる感じでつけて下さいね 」
「 本日の投薬はなし。
現段階での抗アレルギー剤などの服薬はヤめておきましょう。
よく勉強されましたね。
これからも、体質改善、悪化予防にこころがけて下さい 」。
Dr.マリオから、そんな嬉しい言の葉をいただいて、無罪放免。
大きな安心をいただいたのに、初診料のみの請求に申し訳ない想いを抱きつつ。
クリニックを出て、駐車場に向かう足が軽い。
空が、青い。