19日。
高校野球観戦のためにTVをつけたら、映ったのは 『 24時間テレビ 』。
『 中国障害者芸術団 』 による 『 千手観音 』の舞が披露される、
とのことで、そのための練習風景が映し出されていた。
NHKに替えかけたリモコンの手が、思わず止まる。
中国全土約6千万人の障碍者の中から選ばれたアーティストたち。
全く耳の聞こえないひとたちが、太鼓の音の振動を全身に感じながら、
厳しいダンスのレッスンを重ね、一糸乱れぬ千手観音の舞が完成されていく。
互いの呼吸、息づかい、演奏の振動を全身で感じて動きを合わせる至難の技は、
総勢60名のなかから、厳選された21名で行われる。
21名が一列に並んで、滑らかな舞に仕上げるために、
背後から息を吹きかけたり、直接手で触れて合図を送って紡ぎだされる舞。
千手観音の顔となる、美しい台麗華さんは、1992年にスカラ座で踊りを披露。
2000年にはカーネギホール、オペラ座へも出演。
スカラ座とオペラ座を制した聴覚障碍者は、世界でも彼女だけ、とのことだった。
彼らの願いは、
『 障碍者が健常者以上に夢を持ち、強く生きる力、
そして、美しい芸術性を舞台の上で披露すること 』。
くーーー。 なんてタイミング良く、TVをつけたのだろう。
これは絶対観なくては!!!
固唾を呑んで待っていた私の前で、千手観音の舞が始まり、
私は固まり、鳥肌が立った。
この妖艶な美しさは、肉感的なガンダーラの千手観音。
或いは、ゾロアスター教のアフラ・マズダーの娘、アナーヒターか。
ヒンドゥー教のラクシュミーか。
絢爛豪華でありながら、幻想的に神々しく美しい。
その舞の前に観た、彼らの日々の練習で流された汗や涙を思い出さされ、
爛漫の芬陀利華を思い起こさせられる。
ひとの持てる力と可能性、その素晴らしさ、勁さに
救われるのは、彼らか、私か。
鐘の音に始まり、鐘の音に終わり。
知らない間に涙が流れていた。
私は知らなかった。
2004年のアテネパラリンピック閉会式や、
2005年の愛地球博などで、彼らの演技が披露され、
既に世界的に高い評価を得ており、
日本でもマスコミで大きく取り上げられていたことを。
ググるとHPも開設されており、全国公演が予定されていた。
( 千手観音 My 夢 Dream )
公演の収益金の一部は、障碍者支援のために使われるとの由。
広島でもあるので、これは、行きたいかも~~~~。
HPでも動画がアップされていたが、
24時間テレビで放映されたものがYouTubeにアップされていたのを発見!
が、後日削除されていたため、私がTVで観たものに
一番近い形なのが、これ。
はぅ~。 よみがえる カンドー。
金色に輝く千手観音が 天上に舞う。
そして、下界に降臨されるが如く。
30年を迎えた『 24時間テレビ 』 は 偽善だと、お涙頂戴ものだと、
あれこれ批判非難喧しいことは識っているが、
『 愛は地球を救う 』スローガンのもとに、
全国から3億6300余万円ものお金が集まることは物凄いことだし、
お子たちを始め、私たちが
何か感じる、考えるきっかけになれることは大きいと思う。
個人には如何ともし難い現実の前で
何もしないでいるより、何かをした方が絶対いいし、
何かをすることで、「 する自分 」と向き合える。
「 した後 」の行方を見つめることができる。
これ見よがしに貯金箱を持って駆けつける人々があざとい、という意見も聞く。
しかし、お子たちや家族で、このために1年間を掛けて
24時間テレビ用の貯金箱に、気持ちを入れ続けることの、何があざといか。
24時間ではなく、365日になること、そのものの具現ではないか。
『 愛は地球を救う 』。
その気持ちが、365日、日々、日常のなかで、
考え、向き合い、行動していく私たちになれるよう、
ひとつのきっかけになれるのであれば、やはり大きな意義も意味もある。
多くの困難のなかで前を向いて生き、頑張っているひとびとの姿を識ることは、
同じ困難を抱えている方々には大きな励みや力や夢や希望になったり、
そうではない自分自身の今、生きて在る姿と向き合い、
今自分のできること、を問い直すことに繋がる。
美しい『 千手観音 』の舞に
声にならない感動を覚えつつ、
あれこれと考え込んだ、日曜の午後。

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ジャンル : ライフ
テーマ : 生き方
タグ : 千手観音 中国障害者芸術団 愛は地球を救う 24時間テレビ 障碍者と健常者 芬陀利華